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EQの開発②方法論その18 EQ開発講座

2012.7.19

三十年程前、塾立の大学を作ろうという荒唐無稽な話が一部の塾経営者の間で沸き起こりました。

中心になっておられたのは、今も活躍されていますが、開善塾の金澤純三先生です。

よく目黒の国立教育研究所で勉強会を行っていました。

秩父の廃校を活用して、カレッジ毎に全寮制のキャンパスを創るというコンセプトでした。

実際に何度も秩父まで出かけ、廃校になった中学校や小学校を見て回りました。

その帰り、両神温泉によく立ち寄ったのを覚えています。

いよいよ建設の準備に入ろうということになり、中野のサンプラザで合宿をしました。

その時に、金澤先生を通じて来ていただいたのが、本吉先生でした。

本吉先生は丁度、白根開善学校を開校されたばかりで学校創りの実際をお聞きしようという目論見でした。

東邦大学の教授職を投げ打ち、その退職金とその後二年間に及ぶ講演活動で得た寄付金を建設資金に充てたという、

迫力満点の、生々しいお話だったと記憶しています。

その後で、先生はその場に参集していた10人余りの私達一人一人にこう聞かれました。

「あなたはいくら出せるの?いくら出す覚悟があるの?」

最初に聞かれたのが、私だったような気がするのですが、

「そう急に言われましても、モゴモゴモゴ・・・・・」

答えられませんでした。

他の仲間も似たりよったりでした。

先生は「田島さん。深刻な顔をしたってだめだよ。深刻さと真剣さとは全く違うんだから。」

「遊び半分で学校が創れると思ったら大間違いだよ。」

きつく、たしなめられました。

当然、その時を境にこの話は立ち消えになりました。

私を含め数人が、その後本吉先生に、教育について教えを請いました。

初めて開善学校に伺ったとき、まだ鮮明に覚えている場面があります。

仲間の運転する車で、野反湖の方から登っていったのですが

坂の上に突然だだっ広い平原が現れ、20000坪って聞いてるから

たぶんこの辺だろうと、総勢4名は車をいったん降りました。

するとそこに畳2畳分位の大きな板が、掲示板のように立っており

人はみな善くなろうとしている

           白根開善学校

と書かれていたのです。

なんの変哲も無い、ただの板に、墨書されたものだったと思います。

ただ夕日に照らされ、何とも言えぬ美しい姿でした。

みんな無言でしばらくその場に立ちつくしてしまいました。

私は何故か涙が出てきてしまい、慌てたのを覚えています。

その後有志の数人が、それぞれの想いや目的を持って、山に登りました。

私は先生のお蔭で、この頃、初めて教育についてゼロから学べたと思います。

それから何度も、個人的な問題も含め、相談事を抱えては山に登りました。

先生も東京に戻られた折、私の塾を視察に来てくださいました。

その中で、合宿をさせていただくようになっていったわけです。

ただ先生はその後、群馬県をはじめ、公職に就かれることが予想されていましたので、

将来ご迷惑をおかけすることになるのではないか、という意見もあり開善学校での合宿はその後自粛することになりました。

そして数年後、私が塾の組織をしっかり創ろうと考え始めた時、どうしても開善学校の建学精神を表す、あの言葉が欲しくなったのです。

EQの話とは、一見、ちょっとずれてしまう話ですが、思想の捉え方として非常に示唆に富むものでもありますし、

本吉先生との思い出としてどうしても触れておきたい想いもありますので、

それを次回お話させていただきたいと思います。