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子供たちに教えて効果のあった、情動の調整法 EQ開発講座

2014.9.6

子供たちに教えて、実際に効果が認められた、情動の調整の仕方をお教えします。

学習面をはじめ、スポーツや芸術領域など、さまざまな能力向上の原動力となる

情動をどうコントロールしていけばいいのかを、具体的に説明します。

笑う動物は人間しかいないそうです。

元々人間同士のコミュニケーションのツールとして受け継がれ、発達してきた

と言われています。

確かに相手に敵意が無いことを示し、良好な関係を望んでいる意思表示として

有効であることは、容易に想像できます。

でも、人間のこの笑いには、もっと奥深い働きのあることが研究者たちによって

明らかになってきています。

利他行為という、やはり人間固有の行動があるそうです。

自分の利益を犠牲にしても他人の利益を確保するような行為です。

実は笑いにも、この利他行為に似た一面があるらしいのです。

他人を和ませ、喜ばせるために笑う。

それがうまく行ったら、その事が、自分の喜びの創造につながる、

というのです。

ここで判ることは、笑いというのは、自然発生的なものばかりでなく、

意図的に作り出されたものもある、ということです。

さらに興味深いのは、最近まで情動が主導して笑いを作り出しても

その逆は確認出来ていなかったのが、それが確かめられたというのです。

つまり、笑うことによって、笑いにまつわる情動、例えば、喜び・安心・希望・

愉快・誇り・・・・などを呼び起こすというのです。

EQとは情動に関する知能で、自らの情動を識別したり、上手に管理調整

制御して活用する側面と、コミュニケーションに必要な他人の情動に対する

洞察・理解・働きかけだと概ね定義されていることを紹介してきましたが、

この笑いによる情動喚起の情報は非常に有益だと思われます。

楽観性の確保という観点から見ても、落ち込んでしまった時、悲観的・消極的

になりかけた時など、正に笑って吹き飛ばせばいい、という事になるからです。

無理矢理でも、大声で笑えば、確かに情動の変化は自覚できます。

深呼吸と同様に、毎日何度でも、実践すべき、極簡単な工夫だと思います。

是非子供たちにも教えてあげていただきたいと思います。

ただ、いわゆる愛想笑いは有害である、という論文もあるので要注意です。

怒りや苛立ちを押し殺し、愛想笑いに務めると、消極的・否定的な情動

が肉体に呼び起こすのと同様な反応が現れるというのです。

例えば、血圧の急激な上昇や心筋への血流の減少などです。

情動を上手く管理していくにあたっての、さらに有効なメソッドを

ご紹介しましょう。

薬品名は覚えていませんが、テレビ宣伝でこんなのがあったと思います。

あなたの風邪は、のどから?頭痛から?それとも熱から?

実は情動の変化にも、個人差があるのですが、一定のパターンがあることが

確かめられているそうです。

つまり、こんなブルーな気分のときに、人間関係についての悪い情報が入って

きたりすると、どん底に落ちやすいとか、この程度の苛立ちのうちに気分転換

できれば大事にいたらないとか。

いつも、こんな気分が出発点で、次にこんなイライラに変化し、最悪こんな

爆発に至る、とかです。

そう言われると、多分多くの方が、その傾向なり特徴なり、ある種のパターンの存在に

思いあたると思います。

それはそれだけで、非常に有益な情報です。

ご自分の生活上、情動変化の予測がある程度可能になり、選択

または、コントロールの余地が生まれたことを意味するからです。

研究者によると、情動の変化(推移)には、一般的といっても良い

一定のルールがあることが実証されています。

同時に、個人個人にまつわる一定の傾向の存在も認められています。

まずルールの方ですが、ルールと呼ばれるだけあって、以外に論理的な

展開を伴っているようなのです。

例えば、ネガティブな情動で考えてみます。

こんな状況はあり得るでしょうか。

怒る→イライラする→興奮する→憎しみも交えて激高する→癇に障る

→腹が立つ→不満がつのる

何かおかしいですよね。

こんな順番だと納得できそうです。

イライラする→癇に障る→不満がつのる→腹が立つ→怒る→興奮する

→憎しみも交えて激高する

いかがですか。

多少違いを指摘される方もいらっしゃるかもしれませんが、大方、こちら

の方が座りがよいと感じるのではないでしょうか。

こうしたルールの存在に気づき、それを活用することによって、自らの

情動を上手く調整したり、管理したりすることは元より、コミニュケーション

の質をより高めることが可能になると、研究者たちは教えています。

話相手の情動の変化を、事前に察知することが、ある程度可能になる

からです。

人付き合いが上手く、コミュニケーションの取り方に長けていると言われる

人は、きっと無意識の内にこうしたルールを見抜き活用しているのでしょう。

次に個人にまつわるパターンについてです。

これは子供たちへの指導にもつながるのですが、記録を取ることで明らかに

なった、自分が苦手とする情動への対処に、このパターンの情報は役に

立ちます。

自分が持て余す情動は、怒りであったり、落ち込みであったり、嫉妬であったり、

いろいろでしょうが、その情動を引き起こす状況を書き上げ、その状況の連なりを

想定し、問題の情動を弱める工夫をしていくのです。

具体的には、一定の言葉を唱えたり風景を思い浮かべたり、メロディーを思い出したりして、

その情動を消していく訳です。

すぐにふさぎ込んでしまう子、すぐにキレる子、すぐにふて腐れる子・・・・・

こうした子供たちに、この技術を教えることは、私の経験上、EQを開発していく上

で非常に有益であると共に、将来にわたっての大きな財産になると思われます。

また成功事例の中には、こうした指導がきっかけになって、国語の読解での心情

把握に開眼し、苦手だった国語を克服した生徒もいます。

ところで、情動の変化に関する一連のお話しの中で、実は重要な事柄が一つ

抜けているのです。

それは、情動の変化の記録を実際に付けられた方は、間違いなく経験されている

と思うのですが、情動や感情や気持ちという言葉では言い足りない、何か別の

存在がある。

そう、別の言葉に直せば、気分というものの存在です。

研究者は情動(emotion)と気分(mood)とを、かなり厳密に区別しているよう

ですが、正直なところ、私にはまだ理解できたとはいえません。

ただ、この程度の理解で充分だとも思っています。

これまでにも、何度か申し上げましたが、よく、あたかも研究者のような態度で、

学術的内容に拘泥される方がいらっしゃいますが、私はそれにはなじめません。

目的はあくまで現実の生活のより一層の充実にあるのですから、その一点に

役立つだけで十分だと思うのです。

また心理学の世界では、「過度の分析はポジティビティを失わせる」ということを

立証しているそうなので、その意味でも理論的に細部に拘泥するのは得策では

ないと思われます。

「気分とは、長く継続する気持ちで、その生じる原因はなかなか特定できず、

肉体をも含めた生体全体の化学反応の一部」

というような定義が見つけられますが、大事なことは、要するに、感情や情動とは

違うものだという認識、だと思われます。

情動は、そのほとんどが、起こった原因が判り、その強弱により多少の差は

あっても短時間で変化していく性質をもっています。

ですから、気分とは切り離して対処できるし、そうすべきであると研究者たちは

教えています。

気分に対しては、これまでお話ししてきた、楽観性獲得の方法論で、自分の望む気分への

方向転換が叶うようです。

最後に、気分レベルも含めて自分の望ましい情動状態を作り出す工夫をご紹介しましょう。

研究者たちは、まず、一様に記録すること、書き留めることを薦めて

います。

以前にも、書く事の有効性についてお話ししましたが、私自身の体験からしても、

実際に指導した生徒たちの成功例からしても、確信をもって強くお勧めできます。

情動の変化に対する理解を深め、結果、EQを向上させ、同時に気分の改善

も期待できるのが、書く作業です。

形式はどんなものでも構いません。

研究者の多くは、情動に焦点を当てた日記をまず推奨します。

情動について、その因果関係への洞察も含めて、一気に書き上げる。

この一気に、というのがミソで、気分の改善に劇的に効くことがあります。

一気というのは、自然に生まれてきた思いや考えを、あれこれ言葉を選ばず

編集したりせず、めちゃくちゃな日本語になっても、一切頓着せず、そのまま

書くということです。

日記と言う形式でなくても構いません。

昔、高校生でアメリカに留学した生徒がいて、言葉もまだ未熟な時期に、

英語の理解力が低いことをいいことに、目の前でアメリカ人同士が、自分の

悪口を言っているらしく、それが悔しくて、気が狂いそうだと書いてきたので

書くと必ず楽になるから、俺当てにどんどん書けと伝えたところ、

短期間に何通も手紙が届きました。

しかし、その手紙たるや、日本語と英語のごちゃまぜで、敬語やスラングも

ごちゃまぜで、斜めに書かれたものや、得体の知れない絵の入ったものまで

あり、事情を知らない人が見たら間違いなく、健康を疑うような代物でした。

が、それも、ほんの数か月の出来事でした。

後日、本人に事の顛末を聞くと、とにかく苦しい毎日だったらしく、私への手紙

の事はあまり記憶にないようでした。

本当に覚えていないのかどうかは別として、書くことの効果が強烈に確認できた

事例と言えると思います。

また、自分が苦手とする情動に対する対処について補足しますと、記録から

その情動の現れる状況を特定して、緩やかな出現状況からだんだん劇的な

出現状況まで想起できるようにするのです。

その上で、その情動を弱める工夫を試してみるのです。

工夫の例としては、以前からお伝えしている、自分専用の風景や音楽や言葉

などのストックを呼び起こしてみるのが一般的です。

人物の顔を思い描いたり、何らかのきまった動作を行うことも有効だと言われ

ています。

これら一連の方法は、所謂、「系統的脱感作」(systematic desensitization)と

呼ばれる手法の応用だとされています。