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楽観性を身に着けさせよう! EQ開発講座

2014.7.8

EQを開発する上で最も重要な資質が楽観性だと言われています。

この楽観性が低いとEQの向上そのものが阻害され、仮にEQの

中に向上したものがあったとしても、その発揮の大きな障害に

なる事がわかっています。

資質と言いましたが、気質や考え方のことで、楽観的な考え方

楽観的な感じ方楽観的な見方が身に付いている状態を言います。

今回はどうしたら上手く楽観性を、子供に身に着けさせられるか、そして

強くたくましく生きてゆく土台を、子供にプレゼントする方法を提案します。

 

まず研究者達による楽観性の定義をいくつかご紹介しましょう。

「後退や挫折があっても最後はうまく行くだろうという期待を維持

できる能力」

「困難に直面した時に無気力や絶望や抑うつに陥らないよう自分

を守る態勢」

「人間が自分自身に対して成功や失敗をどう説明するかであり、

楽観的な人間は失敗の原因を変更可能な要素と受け止め、次回は

成功できるだろうと考え、悲観的な人間は失敗が自分のせいだと

思い、性格だから変えようがないと考えてしまう。」

大体つかんでいただけたと思います。

楽観と悲観についての研究成果をみますと、学業成績や社会での業績

や評価、そして病気の罹患率や寿命まで、非常にはっきりとした大きな差が、

確かな統計データとともに示されているのです。

悲観がEQの阻害要因だとすれば当然のことだと思われます。

では、それほど重要な楽観性を身に付けることは可能なのでしょうか。

研究者達は可能だと言っています。

心理学の世界でも、脳科学の世界でも、多くのエビデンスを挙げて、

可能である事を証明しています。

しかもその具体的な方法論も挙げている論文も少なくありません。

さっそく紹介していきましょう。

ただその前にひつだけ、強調しておきたいことがあります。

この楽観性を身に付けるということは、EQを開発する上で役に立つ

のは元より、勉強や仕事で成功する原動力になる訳ですが

それ以外に、今急増している「うつ病」の強力な予防になることが

判っているのです。

特に子供たちです。

思春期までに一定の楽観性を身に付けさせることができれば

生涯を通して「うつ病」になる確率を大幅に下げられるというのです。

そこでまず子供たちに関するお話しから紹介しましょう。

楽観性を身に付ける前提として、まず、どうして悲観的になって

しまうのか、その原因究明です。

米国の心理学会会長を務められたセリグマン博士は、次の四つを

限定的に挙げられます。

まず気質の遺伝です。

これはどうしても認めざるをえないようです。

同氏は要因分析でほぼ25%としています。

次は親の悲観志向です。

悲観的になってしまうということは、悲観的なものの見方や考え方が

習慣化してしまった状態を言う訳ですが、脳科学からはミラー細胞への

マイナス情報の蓄積、心理学からは潜在意識へのマイナス情報の蓄積

と集約されるようです。

ではどうして蓄積されていくのかですが、まず挙げられるのが

親の悲観志向だというのです。

毎日の生活場面で親が悲観志向を示すと、子供はそれをそのまま

取り入れてしまうそうです。

ですから、子供に楽観性を身に付けさせるためには、まず親自身が

楽観性を身に付ける必要があります。

次に教師の影響が上がります。

現在は子供の接する世界も多様になってきましたから、広く

子供の周りの指導者と言った方がいいかもしれません。

具体的にはその「叱りかた」だといいます。

子供は自らの失敗に対する、教師の叱り方をそっくり受け入れて

自分自身を批判し始める傾向にあるようなのです。

ですから教師から全面的な批判を受けると、自分自身に対して逃げ場

のない批判を始めてしまう訳です。

最後は悲観・楽観を大きく左右するような、重大な体験です。

大きな難題を解決した時などは、楽観を醸成するチャンスになるでしょうが

虐待を受けたり、両親が深刻な争いを目の前で繰り広げたりしたら

途方もない無力感を味わい、一気に悲観志向に向かうことは容易に想像

できるところでしょう。

こうした指摘から、子供たちに関しては、楽観性を身に付けさせる工夫を

実行する前に、まず、悲観志向を予防することが重要でしょう。

それでは、早速、楽観性を身に着ける具体的な方法を紹介していきましょう。

楽観性を身に付けるためには、まず言葉の力をしっかり認識

する必要があるようです。

「言霊」という言葉がありますが、これは、一般的に言葉に宿る

と信じられてきた霊的な力を表すようですし、「愛語よく回天の力あり」

とは、昔からずっと語られてきた格言です。

実は、こうした主張を裏付ける科学的な証拠や、それに基づく

理論が、最近どんどん世に現れ、「言葉に私達の心を変える作用

があるというのは、現在の脳科学の常識である」と言い切る

脳科学者は少なくありません。

それでは言葉に関してどのような注意を払えばよいのか、

これから順次お話していきますが、まず、セリグマン博士のメソッドに触れたいと思います。

この方法は多くのエビデンスもあり、完成されたものといえるでしょう。

特に子供たちには有益だと思います。

私もかなりのケースで試みましたが、もちろん全部ではありませんが、

成果は上がったと言えます。

日本人の子供用に少しカスタマイズする必要を感じ、今努力している

ところです。

さてその内容ですが、最初のキーポイントは、私達の自分に対する

つぶやきです。

私達は朝から晩まで頭の中で、通常日本語で考えています。

同時に、絶え間なく自分に対して日本語でつぶやいています。

例えば、何か忘れ物に気づいたときに(しまった!またやっちゃったよ。

まずいぞ、こんどは。大事になるかも。どうしよう)とか、

予想外に良い点数が付いた答案が返ってきた時に、(やったやった。

これが俺の実力なのさ。低い点だと思って損したな。この程度の結果

はいつでも出せるんだ。)とか。

楽観的・積極的・肯定的な見方・考え方と、悲観的・消極的・否定的な

見方・考え方とは、このつぶやきの集積の結果だと説明されます。

ですからまず、この自分自身に対するつぶやきの存在に気づく必要が

あります。

どうですか?

今、意識してみて下さい。

思い出してみて下さい。

感じたり、捕まえたりできるでしょう?

特に、物事の原因をどう考えるかという時に発するつぶやきが重要

だとされます。

まず自分の関与の度合い。

そして、影響が及ぶ時間的広がりや空間的広がり。

好ましい出来事に対して。

たまたまラッッキーだったのか、自分の力による当然の結果だったのか。

一時的な現象で、すぐ消失してしまうのか、ある程度期待される期間

継続するのか。

それぞれ、前者が悲観志向に結びつき、後者が楽観志向に結びつく訳です。

好ましくない結果について。

たまたま悪い条件が重なりアンラッキーだったのか、自分の能力の低さや

性格の悪さのために当然起きたことなのか。

すぐ望ましい状態に戻すことができるのか、それとも、悪い状況はしばらく

または、長い間続くのか。

こんどは、前者が楽観志向につながり、後者が悲観志向につながる訳です。

仮に何か失敗したとしても、たまたまだよ。注意さえすれば今度は絶対に

こんなことにはならない。自分にも責任はあるけど、不可抗力の部分もある。

それにこんな状態は長くは続かない。すぐ元にもどるさ。

と心の中でつぶやくのと、

どうして自分ってこうダメなんだ。こんなことじゃ、一生同じ事の繰り返しに

なっちゃうぞ。もうこの状態からは抜け出せそうにない。諦めるしかないな。

とつぶやくのとでは雲泥の差があります。

しかも、毎日、朝から晩までです。

でもこうした蓄積も、入れ替えればよいのです。

先程指摘しました原因や範囲に関するつぶやきを、本日ただ今から

入れ替えていけばいいのです。

誰にも遠慮はいりません。

自分の、一度しかない、貴重な貴重な人生なんですから。

この世で自分しか知らないつぶやきを、これまでと違うものに、どんどこ

変えていけばいいのですから。

もちろん、初めから、私は十分楽観志向であると自覚できる方なら

そのままをキープすることで充分でしょう。

お子さんも楽観志向の確率が、以前説明したように高いはずですし、

万一悲観的なものが感じられるようでしたら、

つぶやきの捕まえ方と入れ替え方を教えてあげればいいのですから。

つぶやきの入れ替えの最も効果の高い方法として、つぶやきの入れ替え

を目的とした日記が挙げられています。

できるだけ毎日、その日の出来事を思い出し、同時に、その時どんな事を

考えたか、またつぶやいたかも思い出します。

そして、悲観につながる考えやつぶやきに対しては、徹底的に反論する

のです。

考えれるすべてを総動員するつもりで、できるだけ沢山の証拠を探す

つもりで。

そして、できれば最後に、将来についての希望を書かせます。

自分はこう変わり、近いうちにこんなことをやり遂げたい。などと。

最後に補足しておきたいことがあります。

私の拙い経験からでも申し上げられるのは、悲観的な子供に対して

今までお話ししてきたことを実行させるためには、自分を責め、自分を

追い詰める、自分自身の存在に気づかせることがとても大事だということです。

字数制限にかかるようなので、稿を改めて、楽観性についてお話ししましょう。

次回はさらに言葉の力を掘り下げ、楽観性を確立していきたいと思います。