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中学受験・高校受験・大学受験・帰国子女を含む英語教育全般および教材の出版とテスト会の運営、EQ育成などトータルサポートする田島教育グループ

伸びる子、受かる子、たくましい子を育てるEQ講座

EQから見た合否判定資料の活かし方

受験学年の生徒にとっては、秋の深まりとともに、各種模擬テストの結果が

その重みを増してゆきます。

志望校の絞り込みは言うに及ばず、合否判定予測に一喜一憂してしまうのが

どの家庭でも見受けられる一般的は風景でしょう。

 

今回は、EQに関する知識を応用して、この模擬テストの判定資料を積極的に活用する

方策をご提案いたします。

思考や意思決定には情動の存在が不可欠である、という事は何度も、申し上げてきました。

そもそも、思考という日本語自体、そうした本質を衝いているとも考えられます。

つまり思ってから考える、と読み解くと、心理学者や脳科学者が辿り着いた結論

と正に一致するからです。


例えば、他人の考えを理解するということは、その考えを支えている情動をも理解して初めて、

他人の言いたい事、伝えたい事が判ったことになるはずです。


では、情動を理解するというのは、一体どういうことでしょうか。


まず相手が抱いている情動、若しくはそれに近い情動を知らなければなりません。

その上で、その情動を自らが追体験のような形で、想像・再現できる事だと

研究者は言います。


実はこれが共感するということの中味になる訳ですが、こう考えてきますと

普段自分たちが思っている共感とは、質的にかなり違う場合が多いと思い

ませんか。


それだけ相手を理解するいう事は難しいといえますし、だからこそ、

そこまで共感でき、共感されていると相手も確信できる関係が構築できれば、

お互いにお互いが、活かし合える存在になり得ると思われます。

生徒と指導者、子供と親、そして子供の指導者と親、それぞれの関係の

一つの理想形と言えるでしょう。

 

但し、ここで注意しなければならない事があります。

 

共感しながらも、自分自身の情動や気分そのものは、しっかりキープしておかなけ

ればならない、と研究者は教えています。


共感できるというEQの働きが、知能の一つとしてのEQであり続けるためには、

一定の距離が常に保たれていなければならない、というのです。

例えば、悲嘆にくれる友人に共感できる、という事と、いっしょになって悲嘆にくれる事とは

全く別の事だという訳です。


子供たちに対する指導の上でも、この事は非常に重要で、私の経験からも、この

二つの混同は良く起るものだと言えます。


いずれにせよ、情動の理解が相手の理解に不可欠だという事と、情動の理解の

仕方についての知識は、一対一の関係にでも、またグループや組織という

関係でも、確かなコミュニケーションの実現に、非常に役立つ知識だと

思われます。


ちょっと前置きが長くなってしまいましたが、今回のテーマ、実際の受験指導に

どのように役立たせてきたかお話ししましょう。


具体例とするには少々乱暴かもしれませんが、対象になる生徒を三種類に分けたいと思います。


全員中学受験生とします。 


三種類というのは、十月段階の模試による合否判定が、二・三十パーセン

以下の子、五分五分の子、八十パーセント以上のほぼ合格確実と思われる子

の三区分です。


まず、第一志望校の合格予想が、二・三十ぱーせんの子にはどう指導すべきで

しょうか。


本人の抱いている可能性の高い情動を挙げてみましょう。

不安・恐怖・落胆・そして自分への嫌悪。もしかしたら怒りもあるかもしれません。

また、時々、可能性を感じて、希望や喜び・楽しみといった情動もあるでしょう。


こんな相手に対して、「もっと勉強しないと落ちるぞ、!」、「言った通りじゃないか、

このままでは必ず落ちるぞ!」などという脅しが有効かどうか、明らかだと思います。


そうでなくとも、毎日ネガティブな情動が湧き上がり、暗い気分の時が増えている

ところに、それに輪を掛けるような脅しは百害あって一利無しです。

絶望に追いやり、完全にやる気と自信を奪ってしまう危険さえあります。


ではどうするか。


まず、合格の可能性について、しっかり理解させることです。


現在同じ成績を取った子の十人中二人が合格している、というデータだと

判らせるところから考えさせます。


じゃどうして、その子たちが合格できたのか。

その過程をいっしょに考えていき、本人の抱く情動をポジティブなものに入れ

替えていくのです。

そして、毎日、その合格へのロードマップ上にいることを実感させてあげることです。


これが実行できれば、かなりの確率で、受験は奇跡的な結果になり得ます。

 

但し、この話は、最初に本人の抱いている情動が、非常にネガティブなもの

である、という前提からスタートしている訳で、子供たちの中には、

この機に及んでも、まだ受験という事態をしっかり認識できていない子も、

また存在することもありえるので、その場合は、受験そのものを再考する

必要があります。


次に、五分五分の子を考えます。

 

どんな情動を抱いているでしょうか。


不安や怖れはもちろん希望や喜び、そしてめでたく合格できた時に抱くであろう

誇りや満足感もあるでしょう。

それらが混然一体となって湧いては消え湧いては消えと言う状態が一番近い

と思われます。


だとすれば、そのポジティブな情動をより多くしてあげることが、勉強の質を高め

合格可能性を高めていくと考えられます。


つまり、合格の瞬間から逆算した計画をいっしょに作成し、少なくとも直前には

合格を本人が確信するところまで、日々確認し、その進歩を誉め続けることです。


最後に合格確実と言われている子です。

このレベルの子が、以外に指導が難しいことがあります。


まずその情動をこれまでと同じように見てみましょう。


受験生ですから、不安や恐怖といったネガティブな情動はもちろんあるでしょう。

でも確実と言う判定なんです。


喜び・楽しみ・ほこり・自信・自負といったポジティブな情動が基本で、充実した

気分をかなりキープできているはずです。


しかし、中には、うんざりとか、飽きとか退屈、といった独特なネガティブ感情が

でてくることがあります。


また、今すぐ試験を受けたい、あと三か月以上も待てないなど、逃避という

情動が起きてくることもあります。


上位生が失敗するケースは、もちろん突然の病気や様々なアクシデントによる

ものが多いのですが、そうでもないものも以外と多いのです。


それは何かといいますと、広い意味での油断です。


広い意味と申し上げたのは、先に挙げたように、飽きとか逃避とか、かなり違った

情動に起因するものがあるからです。


合格確実と言われて、ますますやる気がでてくるというのが一般に考えられる姿

ですが、実の所、人間はそう単純ではないようなのです。


ではどうするか。

油断を防ぐ方法はあるのか。


勉強態度が変化したり、勉強時間が変化したり、外形上変化が現れるものは

まだいいのですが、中には本人も最後まで気づかないような油断もあり得る

のです。

こうした事態も想定して考えるべきです。


通常とられる指導は、直接指摘することです。

論理的に、油断すると失敗も十分あり得ると諭す訳です。

本人はもちろん「解った」と言うでしょう。


でも情動の面で追いつかない場合があるのです。

理屈の上では理解できている。

理性的には、これまでと同じように頑張らなくちゃ、と思っても、何故か以前

のようにフローに入り込めない、ということがあり得るのです。


正にEQが問われる場面です。

それに、こうした指摘は、結局「落ちるぞ」という脅しを含むので、ネガティブな情動

を引き起こしやすいのです。


ちょっとした未勉強分野の発見や、難問との遭遇の時、そうしたネガティブな

メッセージが一挙に増幅されてしまい、自信崩壊に導くこともあり得ます。


ではどうするか。


私が一番いいと思い実践してきたのは、二つの指導です。


一つは、勉強の意味、受験の意味、そして進学してからの人生の価値。

それらをもう一度認識させてあげるのです。


勉強は人のためにやっているんだ、という、以前申し上げた、アインシュタイン博士

の教えに通ずるあれです。

受験勉強は、将来多くの人々の役に立つための準備の一つであり、志望校に合格

するという事は、自分でしかできない事ができるようになる可能性を一つ高めること

になるんだと教えてあげるのです。


もう一つは、目標をほんの少し高くしてあげるのです。

 

そう申し上げると、そうか、志望校のランクを上げればいいんだ、と思われる

かもしれませんが、場合にもよりますが、基本的に、それはあまり良いことだとは

思えません。



この時期、第一志望校がころころ変わるというのは、これまでの受験準備が、

ある意味いい加減なものだったと認めるようなものだからです。


いい加減なものだったという認識は、自信を削ぎ、前向きなやる気を弱める

きっかけになりかねません。


校風から始まり、さまざまな観点から絞り込み、出題傾向の分析を基に、

問題と本人との相性までも吟味し、今や出題傾向に対する対策に明け暮れて

いる日々のはずなのです。


ではどうするか。

 

本人に、そっと、ささやくのです。


「ここまできたら、十番以内で合格しよう!」


場合によっては、

「一番で受かれ。お前にはそれが出来る。」

でもよいかもしれません。


手の届く範囲で目標を高め、同時に本人の誇りをも高め、ポジティブな情動を

強固にしてゆくには打って付けだと思っています。

是非参考にしていただきたいと思います。


もちろん実際は、個々人の個性や周囲の環境、また置かれた状況など、さまざまでしょう。


ですから、もっと木目の細かい配慮が、当然必要になって来るでしょう。

 

先程の志望校のランクアップにしても、ずっと、出来たらこの学校と思っていた

ような場合なら、もちろんOK。

正に願ったり叶ったりでしょう。


私の挙げた三区分を参考に、情動を利用・活用することを、ぜひ実行してみて下さい。

そして本人を励ます時、以前お伝えしたように、メッセージに情動を乗せる

ことも忘れないでいただきたいと思います。


私達大人も、与えられた一度きりの人生を、毎日、諦めず、逃げず、投げ出さず

より善くするために頑張っているんだという、ポジティブな情動を載せてください。


ですから、「がんばれ」よりは「がんばろう」が適している場面も出てくると

思います。


入試突破を通して、こうした情動の利用を実感させることができれば、実は、

合格にも劣らない大きな成果を上げられた、と言えるでしょう。





 

 


 










 

  2014/09/23   田島 教育グループ

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